ヤブ医者のつぶやき

ヤブ医者のつぶやき

現在、世界中で新型コロナウイルス感染が蔓延していますが、それに対する小生の勝手なつぶやきをお聞き下さい。

　ウイルスがつい最近まで生物かどうかの議論があったように、自分で生きていると言うよりは、他生物に依存して生きているように見える物体がウイルスです。それ自身には害毒を与える能力はなく、感染したときの症状は、ウイルスに対する宿主の免疫反応によるものです。それ故に、個体差が激しく、どういう病状を作るかは全く解りません。

　例えば、呼吸器疾患を持っている方については、いわゆる風邪症状になりやすい反応を作るウイルスですので、当然、呼吸器系に症状が出やすいのは、自明の理です。その場合、今、報道などでも言われて怖がられているように、ウイルス肺炎となることの脅威があります。しかし、ここで言うウイルス肺炎とは通称であり、正確にはウイルスによる肺障害と言うべきです。ウイルスが体内に入るとそれを攻撃する免疫反応が惹起され、発熱、咳、鼻水などがたいていの方に出現し（これは自然免疫と言って、どの生物にも多かれ少なかれ、持っている基本的な免疫システムです）、その後、皆様もご承知のようにワクチンに代表される獲得免疫によって、抗体が少なくとも数日で完成し、治癒します。ところが、免疫反応が過剰に出現し、それが肺組織を攻撃、医学的には肺損傷、またはARDS（病態としては間質性肺炎、これは病状が急速に進行するのは当たり前です）さらに肺の傷害は過剰免疫反応だけでなく、二次性の細菌感染による細菌性肺炎も出現します。（これは抗生物質を使用します。）

　呼吸器疾患をお持ちの方は当然肺の予備能力がありませんので、上記の危険が何倍も出現しやすいということです。当然、年配の方、免疫力が落ちている方、また、体質的に過剰な免疫反応を作りやすい方が、危険度が高いということになります。しかし、誰がその病状に進行するかは「神のみぞ、知る」という領域です。

　では、ウイルスは根絶できるのでしょうか。多分、ワクチンが120％効くものが開発されるか、特効薬が開発されるかのどちらかしかありませんが、それは不可能と考えます。従って、今やらねばならないことは、アメリカ・中国などのように感染爆発による医療崩壊を避けることしかありません。感染を食い止めたと言っている中国・韓国でも感染者は増加していますので、新規感染者を0にすることは不可能だからです。私たち一人一人が被害者となるのは当然ですが、感染しているかどうかも検査が100％ではないのですから、加害者となって、他人に感染を広める危険があることを認識すべきです。

　今まで述べてきたことより、私たちが実行することは明白です。まず、手洗い・うがいなどの感染対策をしっかりすること、密室空間などの感染しやすい状況を避けること、加害者となるリスクを減らすため、咳エチケットのマスクをすること、免疫力を維持して、ウイルスに対する抵抗性を維持することです。

　従って、経済的な損失はありますが、当然、遊興の場所は危険性が高いと言わざるを得ません。買い物、役所での手続き、病院の受診などについては、短時間で済ませ、感染対策を十分に行ってほしいものです。